ワクチン接種OR陰性証明の新たな取り組みと旅行自粛の影響

ワクチン接種OR陰性証明の新たな取り組みと旅行自粛の影響

ワクチン接種証明または
陰性証明の提示義務が開始

2021年9月13日よりオアフ島でレストランやバー、ジムなどの施設を利用する際にワクチン接種証明書または陰性証明書の提示が義務付けられるという声明が、先日8月30日に発表されました。

「Safe Access Oahu(セーフ・アクセス・オアフ)」と呼ばれるプログラムで、実施期間は11月中旬までの60日間が予定されています。ワクチン摂取証明書はオリジナルのカードもしくはその写真、陰性証明書は48時間以内に発行されたものが必要で、12歳以下は対象外です。

 

下記、対象となる施設の一部リスト

・レストラン&バー(テイクアウトを除く)
・ジム&ダンススタジオを含むフィットネス施設
・ボーリング場
・映画館
・美術館
・植物園、動物園などアトラクションの屋内施設、など

 

ハワイではコロナウイルス新規感染者数の爆発的な増加によるヘルスケアシステムが逼迫した状態にあることから、「いまハワイを訪れるべきではない」「旅行は10月末まで延期するよう求める」と、デイビッド・イゲ知事によるアナウンスがあったばかり。

ホノルル市長のリック・ブランジアーディ氏は、これから実施されるSafe Access Oahuの規制に対し、「我々はコモンセンスな措置をとろうとしています」「再建をしたいのであり、ロックダウンはしたくない」と述べています。Safe Access Oahuは「ロックダウンを回避するための安全で良い方法である」と。

しかしながら、新たな規制を受け、たとえば飲食店のなかでもワクチン接種率の低い地域にあるお店の経営はとくに苦しい状況に追い込まれるという可能性が懸念されているのも事実のひとつです。

 

──ハワイ州全体のワクチン接種率は、約55.4%(必要回数が完了した割合/9月1日時点)。

数字は島や地域により差があります。オアフ島ではホノルルが70%を越えるものの、ノースショアの一部では45%以下、ワイアナエやワヒアワなどでは35%ほどです。

 

「もし顧客層の大半がワクチン未摂取で、彼らがテイクアウトもしなくなったら?該当するすべてのビジネスを失うことになる」と、ハワイ・レストラン・アソシエーションのバイス・チェアー、ライアン・タナカ氏がコメントしています。

 

ハワイでコロナ禍の生活に新たに投じられた「ワクチンパス」という一石が、ビジネスをどのようなゴールへと導くのか、ワクチン接種の動向をどう変化させるのか、検査需要増加を加速させ供給は追いつくのか、など。波紋は広がりを始めたばかりです。

 

検査が受けられるロケーションや無料検査に関する情報はこちら。
>>https://www.oneoahu.org/covid19-testing/#testingmap

 

 

旅行自粛要請が与える
観光業への影響

Safe Access Oahu と同時に渦巻いているのが、旅行自粛要請。この夏、国内旅行需要の増大から好調だったハワイの観光業ですが(詳細の記事はこちら)、今週末のレイバーデーウィークエンドを前に状況は一変しました。デイビッド・イゲ知事による「いまハワイを訪れるべきではない」というアナウンスがあった直後からホテルの予約キャンセルが相次いでいます。

ハワイ・ロッジング&ツーリズム・アソシエーションのプレジデント&CEO、ムフィ・ハネマン氏(元ホノルル市長)は、「観光業界のパートナーやホテルからすでに数億ドルにのぼるキャンセルがあると報告を受けています。今年の業績予測を調整せざるを得ません」と言います。

ハワイ・ツーリズム・オーソリティのボードメンバーであるフレッド・アトキンス氏によると「あるリゾートは$1.5ミリオン以上のキャンセルがあると、もうひとつのリゾートは$1ミリオン、もうひとつは$500,000」とのこと。

ハワイのホテル業界はパンデミックで多大な失業者を生みました。ようやく回復してきたかという矢先に事態は変わっています。

「いまはっきりと言えることは、9月と10月が非常に良くない状態になるということ。失業者が出てきてしまいます。経済が悪化してしまう」と、KV&アソシエイト・ホスピタリティ・コンサルティングのキース・ヴィエイラ氏から不安の声も。

 

一方。ハワイへの格安航空券プロモーションが実施されたり、レイバーデーウィークエンドに向けたホテルのオンラインブッキングサイトではカマアイナディスカウントを宣伝したりという、旅行自粛に反する動きもあります。

 

「ロックダウンはしたくない。」

 

つまり禁止はされていない旅行をどう捉えるかは個人に委ねられているということ。ハワイというアメリカの小さな島の社会全体はこらから始まる秋をどう過ごし、来る冬のホリデーシーズンをどう迎えるのでしょう。

 

次々と生じる様々な課題を引っさげ、様々な人々の想いと共に、ハワイはまた新たなページへと向かっています。