7月のホテル業界、待望の繁忙期をデータで振り返る
ハワイでうなぎのぼりの不動産業界ですが、この夏休みシーズンにおいては国内旅行需要の増加から観光業も好調でした。「どこも混んでいる」「レストランの予約が取れない」「レンタカーがない」という印象だった7月のハワイですが、実際にはどうだったのでしょう?
本題の前に、7月までの経緯を振り返ると。
2020年3月26日にハワイ州でステイホームオーダーが発令された後、観光業の要である多くの宿泊施設も営業の制限や停止を余儀なくされました。ワイキキはゴーストタウン化し、多くの失業者を生むことに。それから徐々に経済再開活動システムの制限が緩和され、さらにワクチン接種率が上がり、今年の春から夏にかけてはアメリカ国内の旅行者が激増!夏休みに突入すると、閑古鳥が鳴いていたワイキキも幻だったかのように賑わいを取り戻しました。ハワイ州の失業率は、パンデミック直後に21.9%。それが先月の時点では、全米平均よりは高いものの7.3%まで下がりました。
ハワイへの渡航者数データ(2021年6月)。
全体で791,053人が訪れました。パンデミック前の2019年の同月に比べると、−16.5%です。以前は20%ほどを占めていた海外からの旅行者をほとんど含んでいない数字だと考えると、国内旅行の盛り上がりが分かりますね。
では先月、2021年7月のホテル業界の報告データは、というと。
ハワイ・ツーリズム・オーソリティ(以下HTA)が発行する「ハワイのホテルパフォーマンスレポート」の結果は以下の通りです。
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販売可能な客室1室あたりの収益(RevPAR):$303(前年比+718.7%、2019年比+16.9%)
一日平均客室単価(ADR):$368(前年比+121.7%、2019年比+21.0%)
客室稼働率(OCC):82.4%(前年比+60.1%、2019年比-2.9%)
2021年7月、ハワイ州のホテルにおける販売可能な客室1室あたりの収益(RevPAR)、一日平均客室単価(ADR)、客室稼働率(OCC)が、2020年の同月に比べて大きく上回りました。パンデミック前の2019年7月と比較すると、販売可能な客室1室あたりの収益(RevPAR)と一日平均客室単価(ADR)は上回っているものの、客室稼働率(OCC)は低かったという結果です。
「先月の7月はハワイ州のホテル業界にとって好調な一カ月となりました。ラグジュアリークラスから中間&エコノミークラスまでどのカテゴリにおいても、2019年7月より収益と平均単価が上昇したという報告がされています」と、HTAのプレジデント兼CEOのジョン・デ・フライズ氏は述べています。「この夏、ホテル業界の回復傾向があったことは喜ばしいものの、このような好調なパフォーマンスがショルダーシーズンである秋にも続くのか、また、デルタ株の影響でハワイのヘルスケアシステムが圧迫される恐れや、それに伴う旅行需要の低迷などの不安要素もあります。」
データはハワイ州全土のホテル物件において最も大規模な調査を行うSTR, Inc.から集められたものです。7月の調査結果は、141の物件(45,575部屋)、すなわち、全体の84.3%の宿泊施設、20以上の部屋があり営業中の85.6%の宿泊施設、フルサービスまたは部分的なサービスを提供するコンドミニアムホテルを含みます。バケーションレンタルとタイムシェアは含みません。
2021年7月、アメリカ国内の他州からハワイ州を訪れたほとんどの旅行者は、指定機関から発行されたコロナの陰性証明や7月8日に始まったワクチン証明により10日間の自主隔離が免除されました。
ホテルの収益はハワイ全州で$500.2ミリオン(前年比+1,519.4%、2019年比+15.2%)にのぼり、宿泊需要は1.4ミリオン泊(前年比+630.5% 、2019年比-4.8%)、客室供給は1.7ミリオン泊(前年比+97.8%、2019年比-1.5%)。2020年4月以降、パンデミックの影響で営業停止や営業制限をした宿泊施設が多く、2020年における一部のマーケットや価格については比較対象外となるため、2019年のデータと対比されています。
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この夏、パンデミック以前より国内旅行が盛り上がったことは喜ばしいニュースです。しかしながら、8月に入るとハワイ州内のコロナ感染者数が急増し、状況は日々変化している最中でもあります。8月23日には「ハワイ州の病院、ICUは逼迫しており、いま訪れるのは良いタイミングではありません」とデイビッド・イゲ州知事によるアナウンスがありました。「10月末まで旅行を延期するよう強く求めます」と、渡航自粛に関する要請が発表されたばかりで、この先への不安の声が大きくなっています。